ドーム型テントの選び方
ドーム型テントの選び方 ～キャンプ場での出会い～
静かな森の中、夕陽が木々の間から差し込み、空が茜色に染まっていた。
「さて……どこに設営しようか」
初めてのソロキャンプに挑むユウキは、リュックからドーム型テントを取り出し、あたりを見渡した。思っていたよりも広々としたキャンプサイトだ。周りにはすでにテントを張り終えたキャンパーたちが、焚き火を囲んで語らっている。
「お兄さん、そのテント、初めて使うの？」
振り向くと、隣のサイトにいた青年が声をかけてきた。彼のテントは大きめのドーム型で、前室にはアウトドアチェアと焚き火台が並んでいる。
「ええ、初めてのキャンプなんです。設営も初心者で……」
ユウキが照れくさそうに笑うと、青年はにこりと笑った。
「いいね、最初のテント選びって、実はめちゃくちゃ大事なんだよ」
そう言って彼は自分のテントを指さす。
「これはスノーピークのアメニティドーム。広めの前室があるから、雨の日でも快適に過ごせる。耐風性も高くて、風が強い山間部でも安心だ」
「なるほど……！ じゃあ、僕のこのテントは？」
ユウキが手にしていたのは、コールマンのツーリングドームST。青年は少し目を細めて、じっくり観察する。
「それ、ソロキャンパーには定番だね。設営しやすいし、軽量だからバイクキャンプにも向いてる。ただ、前室はそこまで広くないから、荷物が多いなら注意かな」
青年の言葉に、ユウキはうなずいた。確かに、初心者でも扱いやすそうな設計になっている。でも、荷物を置くスペースが少し心配かもしれない。
「テント選びのコツ、教えてあげるよ」
青年は焚き火に薪をくべながら、話を続けた。
キャンプの達人が語る、ドーム型テントの選び方
① 使用人数に余裕を持つ
「テントに書いてある定員は、ギリギリの人数だと思ったほうがいい。だから、1人なら2人用、2人なら3人用を選ぶのがベスト」
② 設営がしやすいか
「ポールの本数が少なくて、シンプルな構造のものがいいよ。初心者なら、ワンタッチ式や自立式が安心だ」
③ 耐水圧と通気性
「耐水圧1500mm以上が基本。あと、雨の日や結露を防ぐには、ベンチレーション（通気口）があるものがいい」
④ 前室の有無
「前室が広いと、靴や荷物を置くスペースになるし、雨の日にも便利。ソロなら前室なしでもいけるけど、快適さを求めるならあったほうがいいね」
⑤ 軽さと収納サイズ
「徒歩キャンプなら2～3kgの軽量モデルを。車なら多少重くてもOK。バイクなら、収納サイズもチェックしておくといい」
「なるほど……」
ユウキは改めて、自分のテントを見つめた。ツーリングドームSTは確かに初心者向けで使いやすそうだ。けれど、もし次にテントを買うなら、もっと広めの前室付きがいいかもしれない。
「テント選びって、奥が深いんですね」
ユウキの言葉に、青年は笑う。
「そうさ。キャンプは装備で快適さが変わる。でも一番大事なのは、自分に合ったテントを選ぶこと。正解は人それぞれだからさ」
その夜、ユウキは焚き火を眺めながら、自分の選んだテントの中で眠りについた。森の静けさと、遠くで響く焚き火の音が、心を穏やかにしてくれた。
そして彼は思った。
「このテントが、僕のキャンプの第一歩になるんだ」
次のキャンプでは、どんなテントを試そうか。そんなことを考えながら、ユウキはゆっくりと瞼を閉じた。
